■おわりに
私はオイルショック前の分譲団地が未来の日本人の住まいとして理想的な環境を提供する唯一の環境だと思っています。というのも管理組合というコミュニティの中で民主的な意思決定が定着して、団地の共同所有が周辺の環境を含めて地域の再生や成長の動きを地域活動を通して連携の輪が広がり、地域独自の個性的なエリアマネジメントに拡大する可能性を持っているからです。同様に分譲マンションやオイルショック以降の分譲団地に住んでいる人も管理組合活動を通して民主的なコミュニティを形成していますが、敷地に余裕がないことや管理全般について民間の管理会社に依存している現状から、自立的な管理組合活動は難しいと言えます。現在、対象とした団地には高齢者が増えています。こうした人々はさらに地域に定住して責任を持って活動することになります。それがチャンスです。企業人だった人々が地域に戻り、各々の団地や周辺地域を通してコミュニティ活動に接することで地域をマネジメントする可能性を得ます。それが地域の人材を育み、地域の再生を司る活動に発展することになります。いわば「高齢者は暇でおせっかい」ですから、様ざなま活動に顔を出し、地域の未来を考え責任を持つようになります。そこに分譲団地の可能性も広がります。
ここに「分譲団地に高齢者住宅を造る」ことが意味を持ってきます。地域をディベロップメントしていく主体として分譲団地の管理組合が寄与できるのです。つまり分譲団地には開発の余地が残されています。それを活用して地域に貢献していくというシナリオです。つまりコミュニティ・ビジネスとして高齢者住宅を展開することになります。それが地域の機能として存在価値を高める中で分譲団地の役割はさらに大きくなるのです。つまり分譲住宅の未来は地域の希望でもあるし、明るいのです。